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【寺田本家レポvol.5】自然に学ぶ酒造り|本物のお酒は百薬の長!
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【寺田本家レポvol.5】自然に学ぶ酒造り|本物のお酒は百薬の長!

創業以来、340年以上続く昔ながらの酒蔵、寺田本家。

五人娘や香取、発芽玄米酒むすひなど人気のお酒がたくさん。YUWAERUの蔵前本店でも人気です。
自然のチカラで酒造りをしている寺田本家の24代目当主、寺田優さんにお酒造りの魅力と、その自然のおいしさを教えていただきました。

YUWAERUの寝かせ玄米のお米を作っている契約農家の大野さんのお米も酒米に使われています。
体を想い、食材を想い、生産者を想い、自然を想う。
YUWAERUのビジョンに共通点の多い寺田本家の酒造りの見学レポです。

■TOPICS

寺田本家のお酒飲み比べ
・はじめの自然酒「五人娘」
・玄米で造る、生きたお酒「むすひ」
・上品でバランスの取れた「香取」
・お米の加工が面白い、「醍醐のしずく」

 

寺田本家のお酒飲み比べ

YUWAERUスタッフ(以下結):見学ツアーありがとうございました!唄に感動し、お米を混ぜている職人さんの技に感動し、生きた菌の発酵の様子に感動しました。知らないことだらけだったのでとても楽しかったです。本当にありがとうございます。

24代目当主寺田優さん(以下寺):お酒造りが始まったこのタイミングでご覧いただけてよかったです。

寺田本家レポvol.4はこちら >>

はじめの自然酒「五人娘」

:では、一番楽しみにしていた、お酒のご紹介!実際に寺田さんと飲みながらいろいろお話を聞いていきたいと思います。

:一緒に飲みましょう!

:早速ですが、寺田本家といえばこのお酒!というものををご紹介いただきたいです。

:寺田本家の代表的なお酒は「五人娘」という銘柄になります。「五人娘」の名前の由来はうちが代々女系家族で、いつも女の子ばかり生まれるので「五人娘」にしようかと命名をしていただきました。それが、30年前くらいで、先代が自然酒造りを始めて、一番最初に造った銘柄ですね。寺田本家が自然酒へと切り替わった記念すべき、大事な名前になります。

:では、一番長いお酒になるんですね。

:さっそくいただきましょう!

寺・結:乾杯!

:おいしい…!

:自然発酵の特徴が、酸味があるということと、味に奥行きがあり広がりがあるところです。

:酸味があって、まろやかでキツさがないですね。

:味がしっかりしているんですが、重たくなくてスッキリ飲めるのが「五人娘」の特徴です。甘みから酸味、味の幅があるので今日は常温でお出ししていますが、温めてもいいですし、夏の暑い時はキリッと冷やしもいいです。

:ちなみに、いつもどんな料理をあわせているんですか?

:「五人娘」の場合はお魚料理が多いですかね。淡白な味のものとも美味しくお召し上がりいただけます。

:普段使いしやすいお酒ですね。

:はい、食中酒もいいですし、お酒を飲みながら料理するとかもいいですね。キャンプなどのアウトドアで気軽にのでいただいても美味しいかなと。

:確かに、キャンプなどでちょっと冷やして飲むとちょうどいいですね!寺田さんもそういう楽しみ方をされているんですか?

:そうですね、外で飲んだりもします。蔵人たちとバーベキューでいろいろ料理を持ち寄ってやったりはしますね。

:日本酒ってちょっと苦手に思う人もいると思うのですが、造り手としてはいかがでしょうか。

:そうですよね、最初の体験があまり良くないことが苦手につながっているのかなと思います。悪酔いしたりとか、頭が痛くなったり。でも、そういったお酒とは違って、自然に発酵した日本酒は飲んだ時の体への負担が違うということを知ってほしいですね。

:本当に全然違いました。味わいもそうですし。日本酒は仰っていただいたように、二日酔いや酔っ払い過ぎちゃうみたいなイメージが強いですが、自然酒は本当にそんなことない。

:自然の微生物の力かなと思っています。

:むしろ元気になるきがします。寺田さんも肌がツヤツヤですし!

:本当のお酒はやっぱり百薬の長だと思うんですよね。それをみなさんに知っていただきたいなと思います。

 

玄米で造る、生きたお酒「むすひ」

:続いては、こちらも寺田本家を代表するお酒、「むすひ」をご紹介させていただきます。玄米100%で作っているお酒になります。玄米のままだと発酵しづらいので少しだけ発芽させて、発芽玄米にしています。ご覧いただきますように、澱がたくさんあるお酒で中で瓶内二次発酵が起こっています。なので、開ける時にちょっと泡がでるんですよ。

:わっ!ちょっとどころじゃない、結構泡が出てます!

:結構発泡しましたね。

:この発泡を始めて見たとき、衝撃でした。

:中で泡が出るということは、菌がまだ発酵を続けていて、生きているお酒なんです。

:なんか喜んでいる感じですよね。知らない方が開けちゃったら、泡で全部無くなっちゃいそうです。

:そうですね、半分くらい吹き出しちゃったり。自分も何度かやらかしたことがあります…少しずつ開けて泡が上がってきたら閉めてを繰り返してちょっとずつ開けていく感じですね。待つ時間も味わいの一つというか、楽しんでいただけると思います。

:待ってると飲みたさが高まってきます!この白い澱は何由来の白さなんでしょうか?

:これはお米のエキスですね。ここに酵母菌がいっぱいいるので、一緒に飲んでいただくとお腹に酵母菌がたくさん入っていきます。

:なるほど、聞けば聞くはど体に良いものに感じますね。むしろ飲んだ方がいい気がしますね。

:中にはお薬がわりに召し上がる方もおられたり、仕事の前に元気を出すために一杯ひっかけていく方もおられたりなど、よく聞きます。

:すごい…!玄米100%ですもんね。

:これは発酵期間も短いタイプのお酒で、今日ご覧いただいた生酛造りとはちょっと違う製法なんです。生酛造りは江戸時代から洗練されてきた製法なんですが、これはもう少し前の時代の今でいうどぶろくの製法に近い造り方になっています。

:私は結わえるに入社して、蔵前本店で初めて食事をした時に飲んだのがこの「むすひ」だったんです。玄米っていう繋がりもすごく感じます。「生きているお酒を飲む」ということもそこから知り始めました。

:そうなんですね、寺田本家の自然酒でも生きている感を一番お伝えできるのがこのお酒ですね。では、開きました!

:おぉ〜濁りがすごい。

寺・結:乾杯!

:酸味とシュワシュワ!後味の穀物感もすごいですね。

:そうですね、お酒というより糠漬けを飲んでいるような、お腹の中が元気になってくる味です。

:「むすひ」は何とあわせるのがおすすめですか?

:味の濃いものもいいと思います。普段はお味噌の料理とか、お肉料理とかもおいしくあわせていただけるかと思います。

:結構特徴的なお酒だと思うのですが、ここから寺田本家を知っていく方も多いですか?

:そうですね、最初に「むすひ」に出会っていただいて、という方も多いです。普段はお酒を飲まないけれど、人に勧められて飲んでみたらすごく気に入ってという方も。

:普通の日本酒という感じではないですもんね。ちなみに瓶のなかで澱が下に溜まってきますが、だんだん味は変化していきますか?

:だんだん酸味も増してきますし、シュワシュワした発泡感も抜けてきますので、開けてから3〜4日くらいで召し上がっていただきたいです。逆に先ほどの五人娘はちゃんと蓋をして冷暗所に置いておけば、長持ちします。どんどんまろやかになって甘味が引き出されてきます。

 

上品でバランスの取れた「香取」

:では、まだ味のわかるうちに…こちらが「香取」です。これも寺田本家の代表銘柄。先ほどご覧いただいた生酛造りで全部で3ヶ月くらい発酵させて造っています。

寺・結:乾杯!

:「香取」の特徴はやっぱり、味の濃厚さですね。

:上品な味がしますね。

:しっかりとボディがあるというか、味の綺麗さもあるし味わいの深さもあります。「香取」は精米80%なので、玄米から20%だけ精米して造っています。玄米に近いのでお米の複雑な味わいも含まれていますね。さっきの「むすひ」よりも穀物感は少なく、バランスが取れています。

:「むすひ」はぐびぐびいけちゃいそうだったので、ギャップがすごいです。「香取」は綺麗に嗜みたいという気持ちになります!口の中に残る旨味みたいなものがすごく美味しいです。

:「香取」といのは、この地域の名前なんです。香取神宮から名前を頂戴して命名しています。

:寺田本家さんのお酒造りを見させていただきましたが、これだけは伝えたい!ことはありますか?

:やっぱり楽しく造るっていうことですかね。熱いお米に触ったり、実際に体を動かして造ったり、お米を育てたり、やっていて楽しいです。ボタンひとつでお酒を造るよりも、大変な思いをしながら掛け声をかけ合いながら造った方が自分たちの心の中に育ってくるものも違うんじゃないかなと思います。楽しく造っていれば自ずと美味しいお酒になってくるんじゃないかなと思います。微生物も仲間となって一緒に。

:お米を急いで走って運んだり、手早く温度管理をしているのが、すごくかっこいいなと思いましたし、今お話を聞いて、楽しんでやっているというのは凄く良いことですよね。

:お米を掘る人運ぶ人広げる人が連動して、タイミングが合ってくると仕事していて心地よいですね。

 

お米の加工が面白い、「醍醐のしずく」

:続いては「醍醐のしずく」というお酒です。これも生酛造り以前中世の頃、4、500年前に発明された製法を再現しています。

:スッキリ透明感のあるお酒ですね。これも注意書きに二次発酵する場合がありますと書いてありますんね。

:発酵するときもあるし、しない場合もあります。これが生きているお酒の特徴ですね。

寺・結:乾杯!

:美味しい!香りがスッキリで結構甘味もありますね。お米の甘みに感じます。

:そうですね、甘味と酸味がありますが、南国のフルーツのような甘味がガツンとくるお酒です。

:なんか意外でした!

:先ほどお話しした中世の製法は菩提元造りと言うんですが、奈良の菩提山正暦寺で始まった製法です。1回お米を水に浸けて1週間くらい放置するんですが、炊いたご飯を加えて1日1回くらい揉みます。そうするとお米のエキスが溶けて、お米がだんだん白く濁ってくるんです。そこに空気中の乳酸菌がいっぱい入ってくるんです。お米の研ぎ汁を置いておいたら乳酸発酵してくるのと同じですね。乳酸発酵が始まって酸っぱくなってきます。腐ってるんじゃないかという酸っぱい匂いがしてくるんですが、そうなったら下に浸かっている米を取り出すんです。それを蒸し器で蒸して、蒸しあがったらそれをさっきの酸っぱい水に戻します。そこに麹を加えて約1週間から10日ほど発酵させて搾ったら「醍醐のしずく」になります。腐敗と発酵を彷徨いながら造っていくお酒ですね。

:へぇ〜!!初めて聞きましたし、よくそんなことを昔の人は思いつきましたね。

:お米をいろんな形で加工していくのが面白いですよね。乳酸発酵させたお米、炊いたご飯、蒸し器で蒸したお米、麹、全部一個のお米というのは同じなんですがいろんな加工の仕方をして、全部合わせると「醍醐のしずく」のようなお酒になるんです。昔の人の工夫が詰まっていますよね。

:昔の人はこんなに美味しいものを飲んでいたんですね。

:お砂糖も今だと普通ですが、昔は貴重品だったので、お酒は甘いものが多かったそうです。これは酸味と甘味のバランスが良いので、ワイングラスで飲むと日本酒なのかワインなのかわからなくなってくるようなお酒です。

:そんな感じしますね、確かに。

:日本酒っていうカテゴリーを超えていくような味わいを楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。

:今回飲んでみた中でも一般的に日本酒っぽいのは「香取」かなと思うんですが、他の味をこれだけ楽しめるのはすごいですね。いろいろな製法でお米を愛でていますね。

:今は乳酸菌や酵母菌など自分達でもわかりますが、昔の人はわからずに「こうやったらいつの間にか発酵していく」という経験の積み重ねでお酒の製法ができていったと思いますね。温度計もないですしね。想像もつかないクリエイティビティーが詰まっていますよね。

:生きる知恵が積み重なって日本酒ができていったんですね。

:お米は貴重品で、お金の代わりでしたしね。

:では、結構酔っ払ってきましたので、そろそろ終わりにしましょうか。本当に、蔵の見学から一緒にお酒を飲みながらお話を聞かせていただき、贅沢な時間となりました!今回は本当にありがとうございます!

:楽しかったです、ありがとうございました!

寺田本家

◆公式サイト
https://www.teradahonke.co.jp/

〒289-0221 千葉県香取郡神崎町神崎本宿1964
・JR成田線下総神崎駅より徒歩20分
・東関東自動車道 大栄インターから車で15分
・圏央道 神崎インターから車で3分

◆Instagram
@teradahonke

◆営業日
4月~9月 月曜~金曜日(土・日・祝日・お盆休みを除く)
10月~3月 月曜~土曜日(日曜・祝日・年末年始を除く)

◆営業時間
8:00~12:00、13:00~17:00

コラム製作 管理栄養士 村上

結わえるwebマーケティング部の管理栄養士。 好きな食べ物1位は卵。読んで、見て、楽しいコラムをお届けします。
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