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【お出かけルポ】第3話:素人なのに和裁してみた。1枚の着物を大切に長く着る着物の知恵。
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【お出かけルポ】第3話:素人なのに和裁してみた。1枚の着物を大切に長く着る着物の知恵。

『第2話:素人なのに和裁してみた。』運針の練習から生地の断裁へ!和裁で見える日本の文化・・・のつづき。

 

小さなパーツだけれど、色々な要素の詰まった袖縫いを終えて、胴体の部分である「身頃」を縫いはじめます。

袖とは一転して生地の面積は大きく、背丈ほどの長さがあり、縫う量もぐっと増えていきます。

「練習した運針でモリモリ縫うぞ!」

と意気込んだのも束の間、背や脇の長い辺を縫い合わせる前に、先生は「内揚げ」を縫うための準備をはじめました。

身頃にわざわざ縫い付ける「内揚げ」とは?

洋服であれば、自分の体にぴったりのサイズを買ったり作ったりするものですが、和裁では余分な長さも切り捨てることはせずに、「内揚げ」といって生地を折り返す部分を作って縫い込んでおきます。

実際に縫ったところはこんな感じ。

「なぜ切ってしまわずに、わざわざ手間のかかる工程を挟むのだろう?」

と思いましたが、実はこの内揚げ、誰かに着物を譲る時に仕立て直しをしたり、着古した着物の裾が擦り切れてしまったときに古びた裾部分を切って整えても長さが足りなくなったりしないように生地を取っておくためにあります。

長く着物を着られるようにするための知恵です。

着物を仕立てる時点で反物をなるべく無駄にしない工夫。そして、仕立てた後も、「着られなくなったから捨てる」のではなく、手直しをしながら長く着物を着るための工夫がなされているのです。

 

「共衿」も着物を長く着る工夫

着物を長く着るための工夫は衿にも。

実は着物は「共衿(ともえり)」といって、衿の部分の生地が一部二重になっています。これは元々、汚れやすい首まわりの衿の生地を部分的に解いて洗ったり、清潔に保つための工夫なんだとか。

時代劇を見ていると、着物全体の生地と衿の生地が異なるものを着ている人物が登場しますが、庶民の普段着などはそれが当たり前だったのだとか。

今と違って普段着であってもあまり多くの着物を持っていなかった庶民は、日々の暮らしや仕事の中でボロボロになるまで同じ着物を着ることもあったと言います。

単なるデザイン性ではなく、傷みやすい共衿の部分を二重にして強度を増したり、取外して清潔にする知恵が生まれたそうです。

そのため、着物本体と共衿の生地が同じということは、かつて日常的に着物を着ていた時代では贅沢な着物、特別な着物という認識だったのだとか。

以前は七五三と成人式しかの着物を着たことがなかった私ですが、その作られ方、パーツの一つ一つに意味があり、知恵が詰まっていることに驚きます。

仕立ての良さだけでなく、反物の良し悪しも影響はするそうですが、物によっては世代を超えて母から子へと受け継いでいくこともできる着物。

一方で安価な海外生産品を後先考えずに流行に任せて大量に買い、飽きたら大量に捨てるという現在の衣服のあり方は、かつての衣類の考え方とはまるでかけ離れたところまで来てしまっているように感じます。

それは、「ゴミになる」「無駄が多い」という廃棄の問題だけでなく、衣類が作られる過程においても、現代の衣類のあり方には多くの課題が。

「フェアトレード」という言葉が頻繁に使われるようになって久しいですが、実際は、本当の価値に見合わないほど「安く」仕入れ、「高く」売って利益を稼ぐという構造は簡単には変わらないのだと言います。

日本の衣、世界の衣、何が変わったのか?

かつて、一枚の着物を長く着られるるように工夫して暮らしていた日本人の衣服は、どのように変化してきたか。

日本人の衣服は、長い鎖国から解放され明治になると、一気にヨーロッパの文化が入ってきて、洋服文化も徐々に浸透していきました。

ヨーロッパ、アメリカにおいては19世紀頃にはミシンが開発され、それまで手で仕立てられていた衣類も、徐々に既製服化が進んでいきます。

そして、大量生産・大量消費の時代がやってくると、ファッションに限らず買い手はそれまでよりはるかに安価に商品が手に入るようになり、より多くの商品を求め、売り手は「商品を捨て、また新しい商品を買わせる」ために、頻繁にモデルチェンジをしていくようになりました。

そして、経済的発展のため、「安く大量に」商品を仕入れられる状況を作り出していくのです。

途上国の人々の体が危険にさらされることを承知で、農薬を大量に散布させた危険な環境で「効率よく」綿花を栽培させたり、安すぎる賃金、長く過酷な環境下での労働を強いることで利益を生み出しています。

たった100年の間に、人々が、日本人が身に纏うものは形だけでなく、こんなにも様変わりしてしまったことになります。

その結果、命を落とす人が出る悲劇も起こりました。

大量生産社会が生んだ悲劇

バングラデシュの縫製工場で、その劣悪な労働環境故にビルが倒壊するという産業事故が起き、1,000人もの死者を出したことは記憶に新しく、映画にもなっています。

『ザ・トゥルー・コスト ファッション 真の代償』(2015年配給作品)

映画の中では、安く大量に衣類を手にすることができる環境の「代償」を誰が払っているのかが、恐ろしいほどありありと描かれています。

華やかなファッション業界の裏側で、貧困や劣悪な環境に苦しみながら作られた服に私たちは袖を通しているという真実を知るドキュメンタリーです。

考えてみれば、食に関しては作ってくれた人への感謝を込めて「いただきます。」と言い、その産地などにも気を使いますが、衣類に関しては誰がどこでどのような環境で作っているかを気にする機会はとても少ないように思います。

話が脱線してしまいましたが、一つ一つの手間を惜しまずに針を進め、仕立てている着物を手に思うことは、私はこの着物を捨てることはないだろうということです。

自分で手間暇をかけて作ったり、作り手のことを知って買い、愛着を持ってき続ける服はそう簡単には捨てられない。他人の健康や幸せを代償にして作られた「捨てる前提の安い服」を買わないことで変えられるものがあるのだと思います。

「長く着ることを前提に作られる着物」から大切なものを学びつつ、身頃の脇と背を縫い合わせていくと、長方形の布だったパーツが段々と着る物らしい形に。途中段階の着物を見る機会はなかなかないですよね!

次は、さらに衿付けなどをして着物を仕上げていきます。

 

 

コラム製作 ゆうな

絵を描くこと、ものづくりが好きで高校からデザインを学んで某美大へ。卒業後は企画を学びに代理店に就職。 プランナーという名の何でも屋だったので、マンガ連載や似顔絵作成など、まったく関係ない能力が色々と身につく。ライターとしては勉強中。 今より約10kg以上も太っていた過去が…! 自力で食の勉強をするうちに大の料理好きに。今は痩せた幸せと玄米を噛みしめている。 料理好きが高じて最近では釣りや陶芸、包丁も柳刃や出刃まで揃えて自分で研いだりしているが、「女子力っていうか、凝り性なおじさんに近いよね」という友人の指摘は概ね間違ってはいないと思う。

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