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【インタビュー】食べることを「エサ」にしてはいけない。食べる喜びを伝える保育給食事業/『From Kitchen(フロムキッチン)』福島利香さん
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【インタビュー】食べることを「エサ」にしてはいけない。食べる喜びを伝える保育給食事業/『From Kitchen(フロムキッチン)』福島利香さん

“我が家の味をつくる=家庭料理をつないでいく”をコンセプトに展開する料理教室『From Kitchen(フロムキッチン)』。

そう遠くない昔、家庭の味を“母から娘へ”と次の世代につないでいくことは、当たり前に行なわれていました。しかし現在では、核家族化や生活様式の変化など、さまざまな要因で難しくなってきています。『From Kitchen』では、お出汁をとること、お味噌汁を作ること、ごはんを炊くこと…など、ごくごく普通の日本人としての当たり前の家庭料理や、料理の基礎・智恵を教えてくれます。

手の込んだ料理や豪華なメニューを作るわけではないのに、料理教室はいつも大人気。

それだけ今の世の中には“ふつうのごはん”を教えてほしいと思っている人が多いということですね。

まるでお母さんやお姉さんのように、あたたかく迎えてくれる『From Kitchen』代表の福島利香さんに、教室のことや現在取り組んでいる「保育給食事業」についてなど、さまざま伺ってきました。

From Kitchen 立ち上げのきっかけ

 食べることを「エサ」にしてしまってはいけない

『From Kitchen』は、家庭料理の作り方や台所での立ち回り方など、お母さんが娘に教えていくような、ごく普通の基本を教えてくれる料理教室。

そもそも料理家として料理監修プロデュースやレシピ開発などを行なっていた福島さんが、この料理教室を始めようと思ったきっかけとは?

「5年ほど前に駅のトイレに入った時、コンビニで買ったお弁当の食べ残しが置いてあったんです。白いご飯に割り箸がささったままで、あきらかにそこで食べたと思われる形状でした」

「かなり臭いのあるトイレだったので本当にビックリしてしまって。“え?どういうことなの!?”と信じられませんでした。なんらかの事情があったのだろうと思いますが、ここでごはんを食べたんだと考えると、本当に胸が痛んでしまって…」

その後も同じような光景をデパートのトイレでも見つけてしまい、「世の中、どうしちゃったんだろう」と頭を抱えてしまった。

そのことを知り合いに話したら「ひとりで食事をしている姿を人に見られたくないから」「誰にも会わなくてすむから」などということを聞いた。

「常識とか、行儀とか、そんなことよりも、食べることが“エサ”になっている…と思って愕然としました。その人にとって、そのお弁当は“食事”じゃなくて“エサ”。食べることを“エサ”にしてしまってはいけないと心の底から思いました」

その主たる原因を考えた福島さんは、食べることや食についての喜びを学ばずに大人になってしまっていると気づいた。

本来、食べることはとても楽しいことで、それを学ぶのは家庭の食卓。だけど現代社会では、核家族が増え、共働き家庭があたりまえで、親子の関わりがどうしても希薄になりがちです。

「若い人を中心にいろいろ聞いてみると、家庭料理なんて習っていないし、思い出の味もイマイチよくわからないという答えが多く返ってきた。そうだったのか!それなら今からはじめたらいい。その人が一代目になって次につなげればいい。私の知っているかぎりの家庭料理や台所の智恵を教え伝えたい」

そうして福島さんは『From Kitchen』をスタートさせました。

“ふつうのごはん”と“台所の智恵”

 家庭料理をとどけたい。家庭の味をつたえたい。

『From Kitchen』の料理教室で教えてくれるのは、たくさんの食材を使った凝った料理などではなく、ごくごく“ふつうのごはん”。

「私自身が母から受け継いだ料理や、普段作っている料理ばかりです。お出汁をとったお味噌汁、唐揚げ、コロッケ、餃子など、冷蔵庫にある食材でつくれる料理が基本です」

また、料理の作り方を教えてくれるだけではなく、お母さんが台所で教えてくれるような時短テクニックや進め方も一緒に教えてくれる。

「これまで私が台所で毎日培ってきた料理に欠かせない“コツ”のようなものも一緒に教えています。例えば、煮物の準備をしながら薬味を切ったりなどの“料理のくりまわし”という台所での立ち回り方などですね」

生徒さんは若いお母さんや産休育休中の方たちが多いそう。家庭料理を学びたい!というニーズの大きさをひしひし感じている福島さん。今後も料理教室を通して、日本の家庭料理の素晴らしさや、食の大切さを丁寧にわかりやすく伝えていきたいとのことです。

「つたえる」から「とどける」へ

 “おふくろの味”を保育園に。食べる意欲の基礎をつくる

 業界初、「小規模保育園」に特化した給食サービス

しかし、現在は共働きの家庭が多く、家庭での手料理が一番良いというのはわかっていても、どうしても難しいという場合も普通になっている状態です。

「現代社会はみんな、とにかく忙しいですよね。このままでは増々良くない方向へ行ってしまうと思ったんです。しかも、食に興味がある子どもが少なくなっているということを聞いて、ぜひその子たちの力になりたいと思って“保育園の給食事業サービス”をスタートしました」

【From Kitchenの保育園給食サービス】とは、栄養素としてのバランスはもちろん、美味しさ、食べることの喜び、豊かな時間など、給食をとおして子どもたちに「食べる」ことの楽しさを提供するサービスです。

“空腹をみたせればいい”“とりあえず栄養素を満たしているものを提供すればいい”ということではない、From Kitchenならではのオリジナル給食レシピで事業になります。

目指すは「お出汁のにおいがする保育園」

「保育園給食サービス」のくわしい内容・システムは画像をクリック

献立・レシピを提供するだけでなく、保育園での現場の保育士さんや調理士さんへのサポートが手厚いのも特徴です。

From Kitchenの管理栄養士・料理研究家・食育のプロたちが、現場の負担を少しでも減らすため、よりよい提案をしてくれるとのことです。

また、「新規保育園開園サポート」にも注力しているそう。詳しくはお問い合わせを。

食卓から20年後のこどものからだをつくる

 「食卓から笑顔」を提案していく

今、世の中には加工品などがあふれ、それぞれの家庭の味はなくなり、みんなが同じ味の記憶になってしまいそうな現状です。また食べ物に限ったことではなく「これでいいのだろうか」と思うようなモノや事柄もあふれかえっています。

10年後、20年後、日本はどうなっているのか…。福島さんはそんな今を「食卓から変えていきたい」と思って活動しています。

【From Kitchen 今とこれからのミッション】

活動や取り組みの輪はどんどん拡大中です

「すべては子どもたちに、美味しくて身体によくて安心できる家庭料理をたべてほしい。おかあさんの味を受け継いでほしい。そんなふつうの想いを伝えていきたいんです。“おうちの味”がふつうに食卓にならぶ世の中が一番の理想です」

豊かで楽しい食事環境があれば、「空腹を満たせればいい、栄養素を摂取すればいい」ということにはならないですよね。

小さいときからの豊富な食経験は、感受性を高めて心身の安定にもつながっていくとのこと。

贅沢な食事で味覚を肥やすだけの食育とは違い、これこそ日本人が大切に受け継いでいかなければならない食育だと思いました。

「忙しいパパママたちのサポートするために、お出汁のにおいがする保育園をどんどん増やしていきたい。そして、日本の家庭料理の伝承・家族をつくっていくというお手伝いをしていきたい」

 家庭から、台所から、保育園から。

食べる楽しさと意欲の基礎をつくっていくという『From Kitchen』福島さんの今後の活動に大注目です。

福島 利香 さん

From Kitchen 代表/株式会社オリーブ&オリーブ 代表

フードスタイリスト/家庭料理研究家

料理教室や料理イベントを手掛ける企画会社で料理家アシスタントとして勤務後、2010年「食」分野の会社を設立。数多くの料理教室やイベントの立ち上げ・企画運営に携わった経験を活かし、菓子・家電メーカーのレシピ開発、料理撮影、監修プロデュース、セミナー、プランニングなど多岐にわたって「食」に関わる活動を展開。From Kitchenの料理教室「毎日のやさしいごはん」が2013年、キッズデザイン賞を受賞。現在はFrom Kitchenのオリジナル給食レシピを保育園へ届ける「保育給食事業」にも尽力している。

【お出かけルポ】フリーザーバッグでつくる「手づくりお味噌」&お弁当にピッタリ「肉そぼろ」/料理教室FromKitchen(フロムキッチン)

コラム製作 ライター たなべりえ

大卒後、アパレル、出版、印刷、広告、編プロなどなど荒波にもまれて育つ。ライターなのかエディターなのかディレクターなのか…とにかくなんでもします。ひらがな名で活動中。地方の情報誌で編集長をしてた頃、見知らぬストーカーに追い込まれた武勇伝あり。SNSは野球アカとか飲みアカとかtwitterインスタ保持中&facebook塩漬け中。セレブなママ友をいっぱい持っているのがウリ。そこにビールがあればいい、 欲望のまま生きてる庶民です。
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