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【特別対談第2回】上出長右衛門窯・上出惠悟×結わえる代表・荻野芳隆

【特別対談第2回】上出長右衛門窯・上出惠悟×結わえる代表・荻野芳隆

結わえる代表・荻野芳隆が、各ジャンルで活躍されているゲストをお迎えして贈る対談企画第2回。
今回は、第1回から引き続き、結わえるの創業10周年を記念してリニューアルしたギフトボックスなどのデザインを担当された上出長右衛門窯・上出惠悟さんとの対談の模様をお届けします。

>>第1回の対談はこちら


荻野:いろんなものが繋がって、この鬼は迷わずにすんなりできたんですね。逆に、なにか作品をつくっているときに、おりてこない、なかなかつくれないっていうことはありますか?

上出:インスピレーションはだいたいすっとおりてくるんですけど、よくあるのは、僕はこれがいいなと思って提案しても、それが先方に思ったより共感されなかったり(笑)。ただ基本的には相手を理解することが大事だと思うので勉強はしますね。歴史とか。それがおもしろいです。

荻野:今回は基本的に上出さんにおまかせというスタンスでお願いして、僕の思った通りのできあがりだったので、内容については口出しすることはありませんでした。

ーー作品に共通するこだわりとかはあるんでしょうか?

上出:僕はいわゆるデザイナーではないので、今のデザインの文脈とは違う場所、九谷焼で培ったものが恐らく自然と出て来ますよね。昔の、たとえば資生堂の創業時なんかは、今ほどデザインという仕事が細分化されていなかったので、パッケージを日本画家がやっていたものもあるんです。僕はその頃のデザインがすごく好きですし、そういう時代感とか、”プロにはつくれないものの良さ”ってあると思うんです。

荻野:昔の資生堂の手描きっぽい花とか、めちゃめちゃいいですよね、質感があって。あれを普通にデザイナーに頼んでも、今は難しいだろうな。

上出:何十年も使われているものはやっぱり残したら良いのになって思います。創業者の思いやその時の時代感がそのまま反映されてると思うので。だから今回も、デジタルでそのまま描くこともできるけれど、アウトプットは「筒描き」にして、質感を残すということにこだわりました。

荻野:「筒描き」ってどうやるものなんですか?

上出:僕は染色の勉強をして来たわけじゃないのですが、妻が元々着物の染色の職人だったので彼女から情報を得てやっていきました。
ビニールの切れ端を円錐形に丸めた筒に染色用の糊を入れて、下書きしたイラストの線をなぞっていきます。その後、上から色を塗って、水で糊を流すと、糊の部分は染色されずに線が浮かび上がるのです。

荻野:そうすると、こんなにいい味が出るんですね!

上出:全部デジタルでやるとこうはならないですね。糊が途中で出過ぎちゃって潰れちゃったり、線の太さが変わったりしてるんですが、それがおもしろいですよね。もちろん僕が素人ということもあるけど、コントロールしきれない部分がある。

荻野:デジタルでいただいたラフと、実際の完成図はたしかにちょっと違いますね。

上出:一本一本デジタルでつくっていくと、すごい極まったものができるとは思うんですが、隙がないものになると思います。僕も焼き物をやっているので、最終的には窯に入れて焼かないといけないんですが、それもコントロールできない人の手が及ばないところです。ある種のマジックだと言えます。僕が求められてるところって、きれいに整理されたものではなくて、そこから何かが生まれそうな隙があるものかなって思うんです。予測できないおもしろさって共感されます?

荻野:わかります。極まってないからこそ、これもずっと見ていられる。クラフト感があるものとか、手でやらないと、リアルでないとできないものっていうのはあると思います。戦後はどんどん工業化が進められて、伝統産業が廃れて、ここ数年ぐらいでやっとそういうのを見直そうっていう動きが多い気がするんですけど、何かあるんですかね。

上出:僕が大学生ののときくらいから世間ではライフスタイルが見直されて、手間ひまかけて、より良い生活をしようとか、手仕事の良さを求めたりとか、そういうことが一気に広がった記憶がありますね。親の世代がそういうことをあまり鑑みずにやってきた世代だと思うので、僕らの世代で改めて日本の文化とか、伝統的なものに再び立ち返ったり、良さを発見しようということは増えていると思います。流行り廃りもありますから、危険だな、と思うこともありますが。

荻野:伝統工芸とデザインのところで、流行りとか危険だなと心配しているところはありますか?

上出:そうですね。流行りになってあまりにも本質とかけ離れて、スタイルになってしまうのが心配ですね。”和”ではなくて、ただの”和風”というものが多くて。外国人から見た間違った日本感と変わらないくらいの誤訳があるのに、それを自分たちの伝統だって容易に受け入れてしまうような。

ーー伝統工芸のメーカーという立場ではどうですか?

上出:伝統工芸のメーカーの多くは、危機感はあってもどうしてよいかわからない状態で。行政に頼むと、外部から有名なデザイナーとかを連れてきて、その土地のことや営為をあまり理解されないままデザインがなされ、職人たちは偉い先生なので言われたままものをつくります。売れれば良かったねってなるけど、それがなかなかそうならない。本来であれば、作り手自身が自分たちの特性をよく理解した上で、課題を見つけて、それを実現してくれそうなパートナーを探すことができれば、そのような悲劇は減ると思うんですが。

荻野:僕もよく聞きますね。行政から補助金も出て形にはなったけれど、一発で終わったので広く知られていないものがたくさんありますよね。

上出:もちろん、作っているメーカー自身が勉強不足で、今の時代に起きていることや流行をあまりにも知らなすぎるとも思うんですが。今までは、販売は問屋さんが担っていて、メーカーは考えなくてもよかったんですよね。作れば売れたから。でも今は、問屋さんのシステムの多くが破綻してしまっていて、うちも同じ状況でした。今のままでは息子に継がせられないと考える親や、こんなのおかしいと行動する息子世代が増えて来ていると思います。

荻野:少しずつ意識が変わってきているんですね。でも、オリンピックまでは形だけの”和風”が増えるでしょうね。

上出:“和”がテンプレートの一つみたいになってしまってますよね。だから本質を見極める力が必要になってくるんだろうと思います。外見をむりやり和風にするよりも、例えばレストランで、ナイフとフォークであっても、食材との向き合い方に日本を感じるというほうがかえって自然な感じがしますよね。

(つづく)

>>次回は最終回。伝統工芸と現代文化のこれからについて考えました。【第3回】
 

PROFILE

■上出惠悟/KEIGO KAMIDE

1981年石川県生まれ、2006年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。同年より、1879(明治12)年創業の九谷焼窯元である上出長右衛門窯の後継者として、職人と共に多くの企画や作品の発表、デザインに携わる。2014年合同会社上出瓷藝(かみでしげい)設立を機に本格的に窯の経営に従事。東洋から始まった磁器の歴史を舞台に普遍的で瑞々しい表現を目指すと共に、伝統や枠に囚われない柔軟な発想で九谷焼を現代に伝えている。主な仕事として、伝統柄をアレンジした「笛吹」や、スペイン人デザイナーを招聘した「JAIME HAYON×KUTANI CHOEMON」シリーズ、九谷焼の転写技術を活かした「KUTANI SEAL」などがある。また個人としても磁器を素材に作品を制作し、幅の広い活動を展開している。
https://www.instagram.com/kamidekeigo/

■上出長右衛門窯/KUTANI CHOEMON

明治12年(1879年)、九谷焼中興の祖である九谷庄三の出生地、石川県能美郡寺井村に創業。東洋で始まった磁器の歴史を舞台にしながら、職人による手仕事にこだわり、一点一線丹誠込めて割烹食器を製造している。深く鮮やかな藍色の染付と九谷古来の五彩(青、黄、紫、紺青、赤)を施し、古典的でありながら瑞々しさを感じられる九谷焼を提案。年に一度窯を全面解放し、絵付体験や蔵出し市などをお楽しみ頂ける窯まつり(5月連休)を開催している。
http://www.choemon.com

コラム製作 まっちゃん

広島県出身。大学卒業後、興味のあった中国へ語学留学し、そのまま4年間暮らし、改めて日本食のおいしさと日本文化の優しさを実感。普段は玄米食で、様々な雑穀を食べるのが好きで、最近はずっとそば米にはまっています。たまに山に登ったりサイクリングしたりしますが基本的に読書好きなインドア派です。前職でおせちを通販サイトで販売していた経験を生かして、WEB事業部部長をしています。

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