【寺田本家レポvol.3】自然に学ぶ酒造り|酒唄で気持ちを高めて造る、微生物の発酵の力。
創業以来、340年以上続く昔ながらの酒蔵、寺田本家。
五人娘や香取、発芽玄米酒むすひなど人気のお酒がたくさん。YUWAERUの蔵前本店でも人気です。
自然のチカラで酒造りをしている寺田本家の24代目当主、寺田優さんにお酒造りの魅力と、その自然のおいしさを教えていただきました。
YUWAERUの寝かせ玄米のお米を作っている契約農家の大野さんのお米も酒米に使われています。
体を想い、食材を想い、生産者を想い、自然を想う。
YUWAERUのビジョンに共通点の多い寺田本家の酒造りの見学レポです。
■TOPICS
酒造りする仕込蔵の見学
・菌の発酵はゆっくりと、順番に。
・微生物や菌に聴かせる、唄
酒造りする仕込蔵の見学
YUWAERUスタッフ(以下結):YUWAERUの寝かせ玄米のお米を作っている契約農家の大野さん、寺田本家さんで使っているお米も大野さんのお米も使っていらっしゃるということで、寝かせ玄米と寺田本家さんの日本酒は兄弟みたいなものかなとは思っています。今回はすごく楽しみにしていました!よろしくおねがいします。
24代目当主寺田優さん(以下寺):ちょうど、お酒造りも始まったところで、いろんなところをご覧いただけますので、いろいろ体感をしていただけたらなと思います。
寺田本家レポvol.2はこちら >>
菌の発酵はゆっくりと、順番に。
結:ここからは後半部分、お米が変化していく様子を見学させていただきます。
寺:こちらが、酒母室になります。
結:わあ!冷たい!ひんやり肌寒い温度ですね。
寺:ここは涼しい部屋にいなっていて、今ちょうど暖気樽を出している作業中です。小さなタンクの中に酒母が入っているのですが、湯たんぽのような銀色の筒をいっしょに入れて、2時間ほどかけながら少しずつ酒母の温度を高めていくんです。そうすることで、酵母が働いて糖化が進みやすくなるのと、乳酸菌の乳酸発酵がしやすくなります。
結:なんで酒母室をひんやりした温度帯にして、湯たんぽで暖気の作業を行うのですか?
寺:生酛造りの手法というのは、低温で酒母を育ててあげたいんです。このタンクの中の酒母も5℃くらい。部分的に温めることで、糖化も部分的に進んでいくようになっています。これが一度に全体が温まってしまうと酵母を呼びやすくなってしまうんです。まずは糖化してお米が溶けてから、乳酸菌、酵母菌という順番に発酵するようにしたいんですよね。先に酵母が来てしまうと糖化の前に酵母の発酵が始まってしまって、お酒になったときに味が薄くなってしますんです。
結:なるほど、そうなんですね。
寺:長い時間をかけてゆっくりと加温をして糖化をさせてから、酵母の発酵に繋げるようにしています。これが生酛造りの大事なポイントなんです。
結:このタンクの中の酒母もクリーム状になっていますね。
寺:そうですね、だんだん溶けていくと見た目も変わってきます。こっちにあるので十分に広がった酵母を寝かせているタンクですね。ちょっと食べてみてもいいですよ。
結:わ!思ったより酸っぱい!
寺:この酸っぱいのが乳酸菌の生み出す乳酸の味です。この乳酸のバリアによって雑菌も入りづらくなるんですよ。でも、酵母菌はそのような酸がたくさんある状態の中でも発酵することができるんです。乳酸菌と酵母菌は仲良しなんです。
微生物や菌に聴かせる、唄
寺:続いては、寺田本家では唄を歌いながらお米を摺る工程があるので、それをご覧いただきます。
結:ありがとうございます!楽しみです!
寺:なんで、お米をすり潰すかというと、お米が水を吸って硬い状態になると、混ぜるのが大変になり、暖気樽へ入れにくくなりますので、あらかじめすり潰しています。
結:なるほどですね、ではここでお米をすり潰してから、さっき見た暖気樽に入れていくんですね。
寺:これが酛摺りという道具です。酒母のことを別名「酛」といいます。では、軽く唄ってみましょう。
▼ぜひ動画でご覧ください
結:すごーい!!なんか感動してしまいました。
寺:いつもはみんなで作業をして唄うので、調和が広がっていく感じがします。
結:酒母にみんなで唄を聴かせてあげるんですね。
寺:唄を聞かせる理由はいくつかあるのですが、みんなで唄うことで同じリズムで作業ができるのでお米の摺り具合を同じように仕上げることができます。また、みんなの気持ちも一つになってくるのでいいチームワークになります。ここにいる微生物や酵母菌、乳酸菌もこの唄をきいて元気に発酵してくれているんじゃないかな。
結:確かにいまの、唄の響きは元気なりますね。やってる方も楽しくなりそう。寺田本家さんで造られたお酒はみんなこの唄を聴いて出来上がっているんですね!
寺:今回の唄ったのは酛を摺るので「酛摺り唄」というのですが、他にも「留仕込み唄」など作業ごとに唄があったりします。
結:お酒一つの瓶にすごく愛情が詰まっている気がします。
寺:昔から、お酒造りって肉体労働や単純作業ですごく大変な仕事ではあるんですが、そういった作業をいかに楽しく工夫して行うかというところで、唄が唄われてきたんじゃないかなと思います。昔は寒いところで、水を浴びながらの作業で、今よりも大変でしたでしょうから。近代化で機械が増える中、唄を唄うことは少なくなってきていますが、寺田本家では15年ほど前から唄を唄いながら作業をするようになりました。
結:そうなんですね。
寺:うちも一時期は機械づくりになっていた時期もあったんですが、そこから手作りの昔ながらの造り方に戻したときに、唄が大事な役割を果たすのではないかということで、みんなで練習をして唄い始めるようになりました。
結:いい経験をさせていただき、ありがとうございました!ぜひ、これは伝えていきたいですね!次回は、もろみ造りをみていきます!
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寺田本家
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