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ユニークな納豆が目白押し!  日本の伝統的発酵食品「納豆」の楽しみ方を広げてくれる「納豆工房せんだい屋」
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ユニークな納豆が目白押し! 日本の伝統的発酵食品「納豆」の楽しみ方を広げてくれる「納豆工房せんだい屋」

発酵食品の代表格である「納豆」。

昔、お米がつくられる地域では、稲藁に蒸した大豆を包んで発酵させた自家製納豆を食べていた家庭も多かったという日本の伝統的な発酵食の一つです。

今でも大粒、小粒、ひきわりなど、自分好みの納豆をスーパーで手にとり、ご飯のお供の名脇役として食卓にのぼる家庭も多いですよね。

いつも何気なく食べているこの納豆ですが、「え?そんな納豆もあるの」と、知れば知るほど、楽しみがぐーんと広がるような多彩な商品を展開している納豆屋さんをご紹介します。

思いはただ一つ「納豆を楽しんでもらいたい」

石和温泉にある「納豆工房せんだい屋」。工場に併設された売店ではさまざまな納豆が購入できます。

その納豆屋さんとは、山梨県笛吹市石和町に本店がある「納豆工房せんだい屋」。昭和36年に創業した老舗の納豆メーカーです。

本店の入口では納豆の神様のモニュメントがお出迎え。お供え物の納豆とお賽銭が添えられているのも微笑ましい。

大半はスーパーに卸すそうですが、容器を変えたり、タレを変えたり、品種を変えたりなど、製造する納豆はトータル100種類以上!

工場に併設されたお店にはその一部、といってもおよそ40種類もの納豆がずらりと並びます。

「お店に並んでいるのは、どちらかというと“納豆をもっと楽しんでもらおう”という側面が強い商品です」

そう語るのは、「納豆工房せんだい屋」三代目社長の伊藤英文さん。「納豆を楽しんでもらいたい」というお店のコンセプトのもと、こんなにもたくさんの種類が展開されているというわけです。

「納豆工房せんだい屋」三代目社長の伊藤英文さん。

小粒、中粒、大粒はもちろん、三角経木に包んだ「甲斐駒」や、昔ながらの手づくりの風味を藁に包んだ「わら納豆」、きざみ梅のカリカリッとした食感を楽しめる「梅たっぷり納豆」、大根おろしのたれを添付した「大根おろし納豆」、ふりかけてお湯を注いで楽しめる「納豆茶漬け」、さらには「わかめ納豆」「ひじき納豆」「ごま納豆」「きび納豆」「わさび納豆」「食べるラー油納豆」まで、どれも試してみたくなるような納豆が目白押し。

昔懐かしい風情のあるわらで包んだ「わら納豆」。

刻み梅のカリカリっとした食感を楽しめる「梅たっぷり納豆」、鬼おろし大根のたれでさっぱりいただける「大根おろし納豆」、粒よりの大豆を使用した「夕飯なっとう」。

素材を練り込んで個性的に仕上げた「わかめ納豆」「ごま納豆」「きび納豆」。

納豆10個入りで530円というお得な商品。こちらは本店のみのサービス品。

4種類の納豆を詰め合わせたお土産にも人気の「おてがるセット」。

スナック感覚でポリポリ、カリカリと楽しめる「ドライなっとう」。しょうゆ味のほかピリ辛味も。

納豆だけでなく、おやつ感覚で楽しめるドライ納豆や納豆ふりかけ、納豆味噌汁といった加工品もさまざま。普段見たことのない納豆製品がたくさん並ぶと、買う楽しみ、選ぶ楽しみ、食べる楽しみも増えそうです。

お土産におすすめなのは、地元山梨県産の大豆を使用した「あけぼの大豆納豆」「富士の青豆」「富士の秘伝」「八ヶ岳」の4種類。やはり原材料の大豆からご当地ものにこだわった納豆は観光客にも大人気のようです。

山梨なのに仙台納豆?

そもそもこの「納豆工房せんだい屋」はその名前のとおり、仙台納豆が由来とのこと。近所にあった仙台納豆のお店の主人が地元仙台へ帰郷する際に、そのお店を引き継いだのが伊藤さんのお祖父さん。別の商売を手がける傍ら始めた納豆事業が、次第に拡大し、本業となっていったのだそうです。

「もともと他社から引き継いだ事業なので、他の納豆屋さんのように代々伝わる製法を頑に守り続けるといったこだわりも特にないんです。おいしく、楽しく食べてもらえるように、いい材料や技術にこだわるというのはもちろんありますけど。よりおいしく作れるのなら製法も変えていくくらいのフランクな感じでやっていますので、他のメーカーさんがやらないような納豆にも挑戦しています」

工場見学はできませんが、店内には納豆の製造工程がわかる写真が飾られています。

半世紀以上の歴史を刻んだ老舗納豆メーカーですが、その重みを感じさせないほど、フランクで軽やかに語る伊藤さん。ある意味、何にもとらわれることなく、“食べておいしい納豆を楽しんでもらいたい”という思いが形となったのがこの多彩な納豆の種類展開というわけなのですね。

「イカの塩辛納豆や塩昆布納豆とか、お酒のつまみに合う納豆なども昔はもっといろいろありましたよ。あまりにも手がかかりすぎるので、今はやめちゃいましたけどね」

なぬ?! イカの塩辛納豆、塩昆布納豆……賞味してみたかったと思うのは私だけではないはず。きっと、これからも納豆好きを楽しませてくれる新しくておもしろい納豆が生まれるかもしれないと思うと、今後も目が離せませんね。

 

砕いたドライ納豆を混ぜているという納豆アイスも販売。味は醤油味とプレーン味。ドライ納豆はまるでナッツのような食感。納豆菌は冷凍しても死なないとのことですが、ひんやりしているせいかネバネバすることもなし。

新感覚!スイーツとしての納豆の楽しみ方

そういえば店内に入った瞬間、ふわっと甘いバターの焼ける香りに包まれたのですが、その香りの発信元がこちら。店内に併設されたガラス張りの工房で「ベイクドなっとうドーナツ」が焼かれていました。

この興味深い「ベイクドなっとうドーナツ」を生み出したのも三代目の伊藤英文さん。納豆業界に初のドーナツが誕生したということで、驚きを隠せない人も多かったのでは?!。納豆の味はするのか、ねばねば糸を引くのか、気になるところも含め、開発の経緯を伺いました。

「こちらも納豆を楽しんでもらいたいという思いから発展したもの。お豆腐屋さんが作っているおからドーナツや豆乳ドーナツがありますが、大豆はお豆腐と同じ原材料なので、納豆でもおいしいスイーツが作れるはずだと思いました。」

ショーケースにはチョコやバナナ、キナコ、くるみ、抹茶あずきなどのフレーバーおよそ12種類が並びます。小麦粉、卵、バターの生地にペーストにした納豆を加えて焼き上げるそうですが、思いのほか納豆の風味よりも、バターとフレーバーの味わいが広がり、しっとりとしたドーナツ生地の食感。ねばねばもありません。これはもう完全なるスイーツです。

「検査機関に調べてもらったのですが、納豆菌は熱を加えても死なないんです。発酵はしませんが生きています」とのこと。主張することもなく、ほんのりと優しく感じられる納豆の風味。納豆菌はしっかりと生きているのですね。

変わり種自販機の先駆け的存在

今でこそ、変わり種の自販機が注目を集めていますが、すでに20年以上も前からその先駆けとなる画期的な納豆自販機を思いついたのが、先代である伊藤さんのお父さんです。

納豆工場が甲府から現在の場所に移転するときに、それまで買いに来てくれていた近所の方々がいつでも購入できるようにとの思いから、納豆自販機を設置したのだそうです。24時間いつでも購入できるという自販機の品揃えが約20種類と豊富なのも「せんだい屋」ならではです。

山梨県内9カ所のほか、東京にも2カ所設置したのは、石和温泉に来た観光客の方が東京でも購入したいという声に応えてのこと。

「せんだい屋」のスタッフが毎日納豆自販機をまわり、補充や温度管理、点検をしているそうです。いつでも「せんだい屋」の出来たての納豆が味わえるというのもうれしいですね。

イートインで納豆の食べ放題?!

王道の納豆の揃えはもちろん、味のバリエーションも多彩で、納豆をスイーツにまで発展させてしまう「せんだい屋」の豊かな発想力は、さらに納豆好きを魅了します。

「納豆が好きな人のために作っているという感じです。納豆が好きで興味がある人に、こんなおもしろい納豆の食べ方がありますよという提案。

東京の池尻大橋店と下北沢店では、イートインで“納豆食べ放題定食”などもご用意しているのですが、そういうのも楽しんでもらう一つの方法ですね」

この「納豆食べ放題定食」は「納豆定食」や「納豆ぶっかけそば」「納豆豚キムチ丼」など数種あるイートインメニューのなかでもダントツ人気。国産小粒、国産大粒、国産ひきわり、えだ豆納豆、ごま納豆、わかめ納豆、ひじき納豆、きび納豆の8種類が食べ放題というのだから、納豆好きとしては食べないわけにはいきません。

私も池尻大橋店で「納豆食べ放題定食」を意気込んでお願いしたところ、どうやら甘く見積もっていたようで8種類制覇はならず。4種類いただいたところでお腹いっぱいになりギブアップ。納豆って、お腹にたまるんですね。残りの4種類は次回のお楽しみとなりました。

 

納豆食べ放題定食。ご飯、味噌汁、小鉢、お新香に、好みの納豆を2種類選べます。納豆を食べ終わったら、追加でまた2種類選べるというシステム。まずはベーシックに大粒と小粒の違いを楽しみました。

 

続いて、ごま納豆とえだ豆納豆を。えだ豆納豆は大粒納豆とあまり変わらないような印象を受けましたが、国産大豆にごまを練り込んで発酵させて作ったごまの風味が豊かな納豆は、味変を楽しむような感覚で食べ飽きさせません。

納豆をさまざまな形で十二分に楽しませてくれる「せんだい屋」。イートインもできる東京の池尻大橋店と下北沢店では、食べ放題をはじめ、いろんな納豆を思い思いに楽しんでみてはいかがでしょうか?

 

店名:納豆工房せんだい屋

住所:山梨県笛吹市石和町唐柏585-2

電話:055-262-1170

時間: 9:30〜18:00(4〜9月)、9:30〜17:30(10〜3月)

休み:なし

HP:http://www.sendainatto.jp

 

【イートイン】

池尻大橋店

住所:東京都世田谷区池尻3-20-3 柳盛堂ビル1F

電話:03-5431-3935

時間:11:00〜19:00(イートインは11:00〜15:00LO)

休み:なし

 

下北沢店

住所:東京都世田谷区北沢3-25-1

電話:03-5431-3935

時間:11:00〜18:00(イートインは11:00〜15:00LO)

休み:なし

 

コラム製作 敬食ライター:味原みずほ

青森県七戸町出身。おやつは一日一片の黒にんにく。食を敬い、食にたずさわる人たちの魅力を伝えたく敬食ライターとして活動中。6歳からピアノを習い始めて音楽大学を卒業してしまった、食と同じくらいピアノと合唱が大好きなライターです。
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