日本最古の日本画用絵具店がつくった優しいマニキュア「胡粉ネイル」
京都で260年以上続く日本最古の日本画用絵具店・上羽絵惣。日本画に使用される岩絵具を中心に、胡粉、水干絵具、棒絵具などを扱う老舗です。
創業以来、受け継いできた1200色以上の和の伝統色は、今でも職人が手作業で丁寧に作り続けています。
そんな老舗の絵具屋さんが2010年に発売し、注目を集めた「胡粉ネイル」シリーズ。レトロかわいい白狐のパッケージに見覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「マニキュア特有のツンとしたにおいがしない!」、「すぐ乾く!」、「発色が良い!」とSNSでも話題になりましたよね。”身体に優しいネイル”としてメディアでも多く取り上げられています。
私も使ってみて、マニキュア特有のあのにおいが無いことにとても驚きました。絵具を使っている時のようなサラサラとした塗り心地も好評で、においに敏感になってしまう妊婦さんや、「親子でネイルを楽しめる!」とお母さんたちからも支持を集めています。
今回は、そんな老舗の絵具屋さんがつくる優しいマニキュアを大解剖してみます!
日本古来の原料で実現した優しいネイル
「胡粉ネイル」が”身体に優しい”と言われる理由は原料にあります。通常のマニキュアは、プラモデルや家具の塗装にも使用される工業用の塗料とほぼ同じもの。合成樹脂を着色し、有機溶剤に溶いた化学物質です。あの独特のにおいはこの有機溶剤が原因です。
しかし「胡粉ネイル」は、主な溶剤として水を使用することであの独特な刺激臭のないマニキュアを実現しました。また、原料の一部に“胡粉”という日本画でも使われる天然顔料を使用しています。「胡粉ネイル」という名称は、会社名でも生産地でもなく、原料からきているものなのですね。
また、ネイルを落とす際に除光液ではなく消毒用アルコールでもオフできてしまうというのも嬉しいポイント。除光液のにおいや肌への負担も気になりません。
日本古来の天然顔料”胡粉”とは
さて、日本画に馴染みの無い方には”胡粉”という言葉を初めて知った方も多いかと思います。何を隠そう私もその一人です!!
胡粉とは、牡蠣やハマグリ、ホタテなどの貝殻からつくられた日本古来の白色天然顔料のこと。日本画の中でも用途は幅広く、水で溶き、他の絵具と混ぜて淡い色合いにするほか、下塗りや仕上げに使われるなど、日本画の画材の中でも重要な絵具なのだそうです。上羽絵惣では、主にホタテの貝殻を粉砕して精製したものを使用しています。
さらに、天然素材の”胡粉”の粒子はきれいな丸い形をしており、肌や爪にも優しいのだとか!
260年の間に培った技術から生まれる伝統色
「胡粉ネイル」は、刺激臭が無いことだけでなく、老舗の絵具屋さんならではのバリエーション豊かで鮮やかな色展開と、一色一色に付けられた日本らしさを感じさせるネーミングも魅力です。
各カラーのネーミングは、日本の四季や和の雰囲気を感じさせる独特のもので、そこには日本の伝統色を守り続けてきた上羽絵惣の「日本の伝統色を身近に楽しんでもらい、日本の四季や文化に培われた色の美しさ、色名に込められた思いから日本の伝統と別品さを改めて感じてもらいたい」という想いが込められています。
発売から瞬く間に話題を呼んだ画期的な商品ですが、それを実現したのは最先端のハイテク技術だけではなく、職人の技術と代々受け継いできた伝統、日本古来の原料でした。古くから受け継がれてきたものは、やはり日本人に優しいものなのですね。
「胡粉ネイル」を塗って数日過ごしてみると、従来のネイルと比べると剥がれやすいなと感じましたが、嫌な匂いは無く、塗ってもすぐ乾くので直すのが億劫ではありませんでした。さらに、従来のアクリルネイルを塗っているときの圧迫感もなく、かなりストレスが軽減されて、ネイルをより気軽に楽しめる気がします。
サンダルで過ごすことも多い夏は、身体に優しい「胡粉ネイル」で指先のおしゃれを存分に楽しみたいですね!