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Patina哲学
【Patina哲学】「農業体験民宿 半兵衛」で田舎暮らしを体験 -後編-
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【Patina哲学】「農業体験民宿 半兵衛」で田舎暮らしを体験 -後編-

『田舎暮らしがしたい』
昔からなんとなく、田園風景や里山の風景の中で過ごしたり古民家で暮らす、ということに憧れを持ちながら、実践できないでいる。

先日、茨城県での出張が決まり、滞在先を探していると「農家レストラン・農業体験民宿 半兵衛」という宿泊施設を見つけたので、ここでたったの3日間のショートステイだが、田舎暮らし(?)を体験してきた。

農家レストラン・農業体験民宿の半兵衛
▲農家レストラン・農業体験民宿 半兵衛

※この記事は、【「農業体験民宿 半兵衛」で田舎暮らしを体験】後編です。
>>前編はこちら

 

午後はママチャリで農道サイクリング

田園風景

バードウォッチング中に、同行した案内人の方の電話が鳴った。宿泊している民宿の共同経営者が、サイクリングの案内を申し出てくれたのだ。もともとこの民宿は、サイクリングのスポットとしても活用したかったらしい。
やってきた共同経営者は本格的なサイクリストだった。ヘルメットをかぶり、ナビとコンパスが付いた装備が完璧のバイクに乗っている。ついていけるかどうか不安だったが、龍ヶ崎から牛久を抜けて霞ヶ浦までの約15km、往復30kmのコースを案内してもらうことになった。

ママチャリの写真

私はママチャリで参加。

都内を自転車で走るときに通るのはたいてい大きな車道で、左側を信号や交通ルールに従って走るので、あまり危険はない。スマホがナビ替わりになるし迷うことはほとんどない。しかし、この上級サイクリストは自転車用の細街路を案内してくれるナビを持っており、農道を走ることに。田園地帯の道は、車道というより農道として機能しているから車がほとんど通らず、自転車にはちょうどいいサイズで、ちょうどいい勾配で、景色も見晴らしもよく、最高のサイクリングコースだった。

農道

サイクリングは速く走ることももちろんだが、1km4分ぐらいの歩くより少し早いぐらいのペースで走ると、歩くぐらいのスピードで景色がゆっくり堪能でき、そこまで体力を奪われず、かつ距離を踏むことができる。
今回案内してくれた上級サイクリストは、昔から自転車で日本全国を回るような強者だったが、ママチャリでも十分大丈夫なスピードで案内してくれた。
信号も、歩行者も、車もほとんどいない農道を堂々と走り、牛久、阿見町を抜けて、あっという間に霞ヶ浦に着いた。今回は時間がなかったので5分ぐらい休憩して、すぐまた元の道へ戻る。

野に咲く花

途中で抜けた阿見町で新興住宅地が開発中だった。龍ヶ崎は空き家になっていく農家が増えており、今回宿泊した「半兵衛」というところも、元々は農家の持ち家だったが、維持するのが難しく、空き家になっていたところを有効活用しているスペースの一つだ。空き家は増えていく一方で、新興住宅をどんどん増やしていく矛盾。中古物件はリノベーションの費用がかかり維持するのが困難だが、割と簡単に建てることのできる新築のほうが費用が安く、需要がある。家は持ったとたんに価値が失われていくので、中古物件の流通は3割程度だそうだ。欧米は7割が中古物件で、資産価値は持てば上がっていく。この矛盾がなくならない限り、新興住宅はつくられ続け、空き家物件は増え続けるのだろう。

夕暮れの田園風景

民宿「半兵衛」まで送ってもらい、解散。上級サイクリストは船橋から自転車で来て、このサイクリングツアーをしてくれた上に、さらにまた20kmの道のりを、船橋まで走るそうだ。1日80kmぐらいなら自転車走行は普通にできるそうだ。上には上がいる。

昭和レトロな龍ヶ崎市内を巡る

竜ケ崎市内の街並み

最終日は、民宿「半兵衛」から、ママチャリで龍ケ崎市街へ。龍ケ崎市は、江戸時代より前から、東北に向かうルートがあったことから宿場町であり、陣屋町だったので、神社仏閣が点在し、重要文化財に指定されている建築もある。
昭和レトロ好きな私は、看板の字体や、色使いにわくわくする。写真におさめたいレトロ感が満載だったので、ママチャリをいったん竜ヶ崎駅へ置いて、龍ヶ崎市内をぐるぐるまわる。

アメリカン ニュースタイル やまいちパーマ と書かれた看板

ガイドブックによると、町おこしのために、「龍ケ崎コロッケ」を商標登録して、お肉やさんやさまざまな飲食店がコロッケつくりに手を上げており、「龍ケ崎コロッケ」が食べ歩きできると書いてある。意気込んでコロッケ屋を探すが、ほとんどみつからず、やっとたどり着いたお店は、夫婦2人でお肉屋さんをやっており、コロッケを全面的に販売していたが、ほとんど人がおらず、客は私一人だった。コロッケはその場で揚げてくれて、1個150円。2種類のコロッケをオーダーしたら、おまけに冷たいヤクルトをくれた。

龍ケ崎コロッケのポスター

その日は八坂神社のむかいにあるにぎわい広場というところで、フリーバザールや個人やグループの演奏がステージで披露される催し物でにぎわっていた。しかし、商店街はゴールデンウィークで閉まっているのか、そもそもシャッター街なのか、定かではないがあまり活気はなかった。寂れていくところに、素敵な看板デザインがあったりする。

パーラー・和洋菓子 ゲンナイの看板

夢中で歩いていると、本当に外れにきてしまったので、別のルートを歩く。警察や消防署、市役所のあるルートは、車の交通量も多く、都内でもよく見るチェーン店が点在していた。

竜ヶ崎警察署
▲竜ヶ崎警察署

またショッピングモールという名の、総合スーパーやドラックストア、ホームセンターが一緒にあるエリアがそこにはあり、この町でいちばん人と車が賑わっているのだった。こういう郊外の充実したワンストップショッピングモールがあると、人は便利で安心し、それがスタンダードになる。商店街が寂れ、昭和レトロが見放されていくのも仕方がないのかもしれない。

まるでおじいちゃんの家のようなところ

半兵衛の縁側

今回宿泊した「半兵衛」は、普通の農家をそんなにリノベーションすることなく、宿泊者に開放している。同時に別のところで飲食店も経営しており、そこの板長が管理人兼任で住んでいるということもあり、だだっ広い農家ではあるが、人のぬくもりや、生活感が感じられ、まるで親戚のお家か、おじいちゃんの家にきたようなリラックス感を得られた。デザインにこだわったり、リノベーションにこだわったオシャレな古民家ではなかなかこうはいかないだろう。しかし、オシャレでない古民家は、生き残れず空き家になってゆく。
普段都会でストレスにまみれたり、子育てに疲れている人で、実家に帰ると気疲れするような人におすすめの場所だ。
ぜひ訪ねてみてほしい。

 

コラム製作 まっちゃん

広島県出身。大学卒業後、興味のあった中国へ語学留学し、そのまま4年間暮らし、改めて日本食のおいしさと日本文化の優しさを実感。帰国後すぐに上京し東京で13年間働く。結婚後長野県東御市に移住。宗教・歴史に興味があり、長野県移住後は諏訪地域の神仏習合や縄文遺跡にはまって散策しています。普段は玄米食で、一汁三菜の常備菜を食べ、早寝早起きの健康ライフを送っています。
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